『物語』

これはある世界のある国の儚き乙女の物語です

とある国の貴族の娘。その娘の美しさには多くの貴族が魅せられた
貴族の娘はその男達を見向きもしない
娘には恋焦がれる男性がいたから
それは、麗しきこの国の王子様
庶民よりは、自分の方が地位が高く王子には近づきやすい
貴族の娘は王子に近づき、娘は王子に愛を注ぎました
『だから、私にも愛をください』
娘はそう願いました
ですが、王子は隣国の姫と結婚しました
娘は気が狂いそうなほどに泣き叫びました
その娘ののちの話は誰もしりません


ぺらぺらと紙を捲る音がした
古い絵本。その本を読むのは赤髪の少年
ベットにうつぶせになりながらその本を読んでいる
「・・・・だから、私にも愛をください」
ぽつりと、その絵本のセリフを漏らす
それほどまでに、この本が気になるのか
かちゃりと音を立ててドアが開く
ドアの隙間から見えたのは青い髪
その正体は間違えなく自分の恋人・・・
少年・ロイはそんなことを考えて、自分で照れた
ロイは起き上がり絵本を自分の横に置く
「やぁ、ロイ」
いつものさわやかな笑顔で、マルスは微笑んだ
ロイも笑って答える
「何読んでたの?」
そう言いベットの端に座りロイが読んでいた古い絵本を手にする
その絵本をぱらぱらと一通り把握し、苦笑する
「悲恋ものかい?っていうかこの本どうしたの?」
「図書室にあったんだ。何となく惹かれてさ。」
ここ、スマデラ家には何故だか図書室がある
それは創作者・マスターハンドの趣味なのか他人の為なのか
その本の種類は数多く子供向けやら大人向けやら、読書家にとっては倉庫だ
そんなことは今は置いといて
―――ロイは不安だった
この絵本を読んで、不安だったことに気がついたのだ
マルスは国の王子様。自分は貴族。マルスには婚約者がいる。
絵本の通りだった・・・。すべてが
もしかしたら、このまま絵本のとおりに話が進んでしまうかもしれない
そうしたら・・・・
「マルスは・・・・僕のこと好き?」
「好きだよ」
何の恥もなく、マルスは平然と言う
「婚約者よりも?」
「・・・・もしかしてロイ、この絵本に影響されてない?」
ロイの頭に図とかいてある星が刺さった
「・・・そんなこと無い・・・よ」
「僕が王子で、君が貴族。で、隣国の姫がシーダってとこかな?」
マルスはいつものような笑みをロイに向ける
―――全くそのとおりです
流石は王子。とロイは想った
「だって・・・不安になるのなんて当たり前じゃないか・・・
マルスには婚約者がいるから・・・・。」
ロイはほのかのに頬をそめ、瞳に涙をためていた
その涙をマルスはぺろっと舌で舐め
「婚約者なんて、所詮は形だけの物だよ。
ロイは今の関係を形に変えたいの?
ただ形だけの関係に。」
『形だけの関係』
どういう関係なのか、自分にはわからない
ただ、何処か寂しいような気がする
そんなのは・・・・
「やだ・・・・そんなの・・・嫌だっ・・・!」
涙が零れ落ちてくる
そんなのは嫌なんだ
だったら、形なんかないほうがいいのかもしれない
自分の唇に、柔らかいものが押し付けられた
それがマルスの唇だとわかるのに、そう時間はかからなかった
マルスはロイの口を割り無理矢理舌を絡ませる
「・・・・・・ふぅっ・・・・」
甘美な溜息を漏らす。少しして、マルスは名残惜しそうに口を離す
「ロイがどう思っていようが僕は構わないよ。
どっちにしろ、ロイは僕のものだもん♪」
語尾に♪マークをつけ、楽しそうに笑う
それと同時にロイをベットに押し付ける
マルスはロイの首筋に顔を埋める
「ちょ・・・・・マルスっ・・・!」
ロイは表面上では恥ずかしがっているが、
内心では嬉しい気がした

今、マルスがいる
ここに存在している
自分のことを、好きだと言ってくれてる
願わくば、ずっと一緒にいれますように
それが自分の望みだ


『ずっと、一緒にいてくれますか?』



後書き
どうも、一応初めまして
夏野水夏という者ですが、小説かきました〜
が、私的には甘いのが好きなんですが・・・これは甘いというのかどうか?
マルロイ小説初、以前にこういう小説書くのが初めてです;///
私の想像では王子鬼畜と化してますね;やばいです(甘いのが好きなのに!)
さて、それでは失礼します